私は元元なにかと気になる性格である。
気にしすぎる性格が祟ってしまい、長いこと一人暮らしをしていた。
私が仕事から帰ると妻は夜の支度を全て終えている。何時でも眠れるというのに、私のせいでしばらく起きている。
私が夜ご飯を済ませ、ご馳走さまでしたと云うと、妻はありがとうと云う。そしてそのまま食器を洗い始める。
今日はどんな事があったか、少しばかりの報告会の後に妻はお休みなさいと云い寝床につく。
仕事から帰る時にはアイスクリームなんかを時時もって帰って土産とするが、妻にしてやれていることはそのくらいである。
洗濯をし、美味しい料理を毎日こしらえている妻にしてやれていることの少なさに私は情けなくなることがある。
そういった感情は、妻が寝ていて私が自分の趣味に没頭している時、ふと我にかえり気づく。
仕事のための勉強をしている時だろうと、読書に耽っている時だろうと関係ない。
私という人間が妻にしてやれていることの少なさに圧倒されることがある。
私の友人には気にしいが多いように思う。
類は友を呼ぶ。似たような人生の寂しさを感じた友人も少なくないと思う。
仕事から帰る夜遅くに花屋はやっていない。
コンビニでアイスを買うことくらいしかできない。
仕方のないことだと思う。働くとはそういうことだ。
私の友人達には、自信を持ってコンビニのアイスを土産に帰宅して欲しい。
私の友人達を支えている聡明な奥様達はきっと、そのアイスが大輪の花にも勝る勲章だと気づいているだろう。